アリの形態
体のつくり
アリの成虫(せいちゅう)の体は、頭部(とうぶ)、胸部(きょうぶ)、腹部(ふくぶ)に区分されます。ただし、胸部と腹部の間には腹柄節(ふくへいせつ)があり、腹柄節(ふくへいせつ)は1節もしくは2節から成ります。
雄の頭部は相対的に小さいが、複眼(ふくがん)の他に3個の単眼(たんがん)があり、よく発達しています。これに対して働きアリでは、単眼は痕跡(こんせき)的かあるいは消失しており、種によっては複眼もほとんど退化しています。
触角(しょっかく)は重要な感覚器官(かんかくきかん)で、基部(きぶ)の柄節(へいせつ)と残りの鞭(べん)状部に分けられます。一般的に、雄の触角は13節、雌の触角は12節から成ります。ただし、種類によってはこれより少なく、トフシアリの雌の触角は10節、ウロコアリの雌の触角は4節から成ります。
大あごはとてもよく発達しており、物をかんだりくわえたりするのに適しています。あごの形は多くの種でほぼ三角形の形状をしています。しかしながら、食性や習性によって、鋸(のこぎり)状、鎌(かま)状、三つまた状などのちがいがあります。
胸部は、前胸(ぜんきょう)、中胸(ちゅうきょう)、後胸(こうきょう)から成っていますが、後胸は腹部第1節(前伸腹節, ぜんしんふくせつ)と融合しています。雄アリと女王アリには2対の羽があります。働きアリには羽はなく無翅(むし)で、その分、胸部の構造は単純化しています。女王アリは交尾後に、羽を落とします(脱翅, だっし)。
腹部は円筒(えんとう)状ないし卵状の形をしています。ハリアリ亜科、フタフシアリ亜科などの多くの種において、雌には腹端(ふくたん)に毒針があります。一方、ヤマアリ亜科の腹端は円錐(えんすい)状のノズルとなっており、ここから蟻酸(ぎさん)を放出します。女王アリの腹部の大部分は卵巣(らんそう)、雄アリの腹部は精巣(せいそう)で占められています。
アリの体の内部としては、働きアリは、食物をいったん嚢(そのう)に蓄えます。そして、コロニー内の他の個体に口移しで分配します(栄養交換)。嚢が著しく発達した種はミツアリにみられます。
アリはフェロモンによってコロニーを統制し、社会的、性的な情報伝達を行います。これらのフェロモンは大あご腺、後胸側腺(こうきょうそくせん)、パバン腺など体内各部の分泌腺(ぶんぴつせん)から分泌されます。
