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アリの巣

アリの巣アリの巣は、地上部につくられるもの(地上営巣性, ちじょうえいそうせい)と、地中につくられるもの(地中営巣性, ちちゅうえいそうせい)とに大別できます。

アミメアリやアギトアリは、石下や倒木下などの空間をそのまま巣として利用し、しばしば巣を移転します。サスライアリは巣を作らず、宿営(しゅくえい)するときは働きアリ自身が外被(がいひ)となり、中に女王アリや幼虫を保護します。


ムネボソアリやシベリアカタアリは、枯れたススキ、タケ、樹木の小枝の中空部に営巣(えいそう)します。ヒラズオオアリも小枝の中空部に営巣(えいそう)しますが、頭部を盾状(たてじょう)に特殊化させた兵隊アリが巣の出入口をふさぎ、仲間のアリが出入りするときだけ入口を開きます。


クロヤマアリやクロナガアリは地中に巣を作ります。巣の深さはそれぞれ3メートルと4メートルに及びます。ハヤシキイロケアリとミツバアリは、樹木やタケの根に沿って地中深く巣を広げ、ネアブラムシやカイガラムシを飼養(しよう)して生活し、結婚飛行の時期以外は地表に現れません。


トビイロケアリは、倒木(とうぼく)や切り株など湿った朽(く)ち木に巣を作り、巣外のアリ道やアブラムシを飼養している樹幹部(じゅかんぶ)を土や木くずでトンネル状に覆います。クロクサアリは樹幹(じゅかん)の空洞(くうどう)などに土や木くずを用いて、ボール紙状の壁で仕切られた多数の巣室からなるカートン巣を作り、近くの樹木のアブラムシから甘露(かんろ)を集めます。


ツムギアリは、アジアの熱帯に広く分布しており、幼虫を大顎(おおあご)でくわえ、その吐き出す絹糸で木の葉を合わせて樹上に巣を作ります。ジャワ島のトリデルリアリは、アリノストリデというアカネ科の植物の茎の中に巣を作ります。この植物のくきは太く膨れており、成長すると乾いて空洞となりアリに利用されます。ボルネオ島のボルネオシリアゲアリとアリヤドリギ、メキシコのアカシアアリとアカシアなどの間にも密接な関係があります。このような植物をアリ植物といいます。


アリの巣内には、さまざまな小動物が生活しています。これらのうち、アリ無しでは生活できないものをアリ動物といいます。チョウ類のクロシジミの幼虫は、3齢(れい)に達すると、クロオオアリの働きアリによってアリの巣に運ばれ、アリから口移しで食物を与えられて成長します。一方、アリはクロシジミ幼虫の背面にある腺から分泌(ぶんぴつ)される蜜(みつ)を得ます。このようなチョウとアリの共生関係(きょうせいかんけい)は、キマダラルリツバメとハリブトシリアゲアリ、ゴマシジミとシワクシケアリなどにもみられます。


ヤマアリ類の巣に住むアリノスハネカクシ、トビイロケアリの巣に住むヒゲブトアリヅカムシは、腹部背面(ふくぶはいめん)から蜜を分泌し、アリによって保護されます。アリの巣に住み、アリの死骸(しがい)や食物の残りを食べて生活するが、アリから特に保護されないものに、アリスワラジムシ、アリヅカエンマムシ、アリヅカコオロギなどがあります。ハキリアリの巣に生息するゴキブリ類のアッタフィラは、ハキリアリの道しるべフェロモンに反応することが明らかにされており、アリとアリ動物の共生機構(きょうせいきこう)を知るうえでとても興味深い現象といえます。

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